【読書】お金と人生についてを考える小説「三千円の使い方」

読書

こんにちは。ふなにっし~です。

今日、ご紹介するのは「三千円の使い方」という小説です。

お金についての本を探すと実用書が中心になると思います。お金のことや人生について今まで考えたことがない初心者さんの中には実用書が苦手という方もいるのではないでしょうか?

この本はお金についての具体的なノウハウはないけれど、手軽に読める小説なので初心者さんがお金のことや人生について考えるきっかけにはなると思います。

この小説の主人公はある一家の女性たち。祖母、母、2人の娘たちの4人です。

祖母は夫を亡くして一人暮らし。ずっと家計簿を書き続けてきたのが自慢の専業主婦。典型的な昭和の女性の生き方を全うしてきた女性です。年金生活に少しの不安を覚えたこと、誰かの役に立ちたいという思いから70代でパート探しを始めます。

母はバブルの時代を楽しんだ50代。バブル時代の女性らしく新しいものをチェックしたり、自己研鑽の習い事は欠かさない専業主婦。新しいものへのアンテナは高いけれど、ITは苦手でいまだにガラケーを使い、ネット検索は娘まかせ。夫や姑(祖母)との関係もそつなくこなしていますが、体調を崩して入院したことがきっかけで夫との老後に不安を覚えます。

長女は幼い娘を育てる20代の専業主婦。寿退社で仕事を辞めて、公務員の夫のお給料からつつましく生活する毎日。ポイ活や節約に励む金融リテラシーの高い女性。祖母の就職、友人の結婚をきっかけにお金や人生についてモヤモヤを抱えるようになります。

次女は20代の独身女性。金融リテラシーの高い、慎ましい姉とは正反対で憧れの町に住み、毎朝カフェに行くような今時の女性でしたが、慕っていた先輩が会社をリストラされたことにショックを受けてお金と人生について考えるようになります。勉強のために出かけた金融セミナーで出会った彼氏と結婚を前提に付き合うようになりますが、その彼がきっかけで家中を巻き込む騒動が勃発します。

このキャラクター設定は一見すると普通の母嫁孫に見えますが、生まれた時代をしっかり反映していて、その時代の典型的な女性の生き方をリアルに描いているなと思います。

例えば、母世代=バブル世代の女性を何人か知っていますが、寿退社をしてしまった人はPCが全く使えないため事務職に就けないとぼやいていたり、スマホとiPhoneはまったく別物と思っていてスマホについて全く理解できていなかったり。50代ってまだまだ若いのに「まさか!」って思うかもしれませんが、これは全部実話です。

小説ですからこんなにうまくいくことはないだろうなあって思うシーンもありますが、同じような出来事は結構誰にでも起こり得るのでは?と思います。

今の自分は本当にこれでいいのだろうか?という焦燥感、体の不調はこれからの人生誰にでも起こりうることです。登場人物はどこにでもいる普通の人なので共感できたり、自分より上の世代のことを知るきっかけにもなると思います。

違う世代のことを知るということは、この先の人生への道しるべにもなります。


三千円の使いかた (中公文庫)

↑キンドル版もあります。

ただ一つ!これはダメ~と思うことが1点。

長女がポイ活でクレジットカードをたくさん作っては、はさみを入れて解約するという描写があります。クレカは作っただけで与信枠ができるので住宅ローンの審査が通りにくくなることもあります。使わないからと気軽に作ると家が買えなくなるかもしれませんので、ポイント目当てにむやみやたらにクレカを作るのはおススメしません…。

実用書は苦手だけれど、お金について考えてみたいと思う人には気軽に楽しめてちょうどいいきっかけを作ってくれる小説だと思います。


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