【韓国文学】「死にたいけどトッポッキは食べたい」1・2を読みました。

読書

こんにちは、ふなにっし~です。

久々の読書記録です。今回は日本での話題を呼んだ韓国文学「死にたいけどトッポッキは食べたい」です。

「死にたいけどトッポッキは食べたい」のあらすじ

作者のペク・セヒさんは精神の不調を覚え、専門医の受診を受けます。

そのカウンセリング内容をすべて録音しており(それがすごい!)、その記録を本にしたものです。

最近は精神の不調を感じると、専門医のカウンセリングが当たり前のようになってきましたが、日本ではまだまだ敷居が高いイメージがあります。韓国ではみなさん割と気軽に受診されるようで、心療内科のことを精神健康科と言うそうです。健康科という言葉はなにかちょっと明るいものがありますよね。

たしかに町中はお医者さんと歯医者さんの看板であふれてたなあ…言葉の問題はあるけれど、ある意味滞在中はお医者さんがすぐそばにあるということで安心感がありました。

主人公で作者のセヒさんは出版社に勤める女性。はたから見たら希望の大学に入り(希望大学に編入した頑張りやさん)、出版という希望の職について、大事にしてくれる彼氏がいる幸せな女性です。

でも、常に自分が他人に下に見られているのではないかという気持ちがあり、その気持ちのせいで人間関係を自ら壊してしまったり、がむしゃらに働いて疲れてしまったりと、他人には見えない心の疲れを抱えていました。自己肯定感が低く、自分を認められないのでどんどん追い詰められてしまうのです。

担当医との丁寧なカウンセリングでだんだんと自分を見つめ、いい状態、悪い状態を繰り返しながら、だんだんと回復していくのかな?というところまでが1になります。

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「死にたいけどトッポッキは食べたい2」のあらすじ

続いて2です。

装丁の色が暗くなっているのが気になるところです…

だんだんと良くなってきていたセヒさんでしたが、この本を出版することについて会社から言われたことや、部署異動が重なって大きく心のバランスを崩していきます。

いわゆる心を病んだ人たちが、おこす行為を起こすようになり、担当医に勧められて休職しますが、休職したことによる「負い目」が彼女を追いこみます。

韓国は若者の就職率が低く、一度辞めてしまうと次の仕事のあてがなかなかないことから、なんとか休職で対応したいところですが、結局退職の道を選びます。

突然退職したので、一般的には会社に迷惑をかけた人間と言えるのかもしれませんが、意外なことにセヒさんが辞めることを悲しんで泣いている同僚が何人かいたという記述は、セヒさんが誠心誠意仕事をしていたことがわかると思います。セヒさん自身は気づかなかったのかもしれませんが、周りはセヒさんのことを心配して、戻ってきてくれることを待っていたのかもしれません。でも、追い詰められた人にはそれさえ負担になることがあるのでしょう。

そこからセヒさんは専業作家の道を歩むことになります。ネガティブなコメントに怒りを覚えたり、自分なんかどうでもいいと思ったら、偶然事故にあって奇跡的に助かったりとさまざまな出来事を通して、今度は薬やカウンセリングをうまく使いながら、穏やかで静かな日常にたどりつくまでが2のストーリーです。

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感想

私は心療内科を受診した経験がないので、いわゆるカウンセリングがどのようなものなのか知りませんでしたから、この本で実際の患者さんとお医者さんのカウンセリングがこんな風に行われているんだということが興味深かったです。

あくまでも穏やかに、患者さんの話を聞きながら、「これは○○なんじゃないでしょうか?」と患者さんの気づいていない心の不調の原因を指摘していくお医者さんのやり方はやはりすごいなと思います。

自分たちの日常生活のなかで、心療内科にいくほどではないけれど時々起こる憂鬱な気持ちや怒りの衝動がきたときに、それをエスカレートさせないためにはその気持ちに対して、「これは○○だから私はこう思って、こうしたいんだ」と一旦しっかりと考えて解決法を導き出すのは有効だなあと勉強になりました。

もしかしたら、ちゃんとした大人。むしろ私のように40代の人はこうして対応しているのかもしれません。でも全員ができているわけではないし、なにか心にもやもやを抱えている人はこの本を読んでみるのはありかもしれません。

セヒさんが最も調子が悪いとき、担当医が「こういう心の病を持っている人は、自分にその気はないのに間違って死んでしまうことが多い」と発言します。例えば高いところから下を見たらどんな気分かな?と思ったら、間違って落ちてしまうとか、首をちょっと締めたらどんな感じだろうと思ったら、締まったまま外れなくて死に至るケースが多いのだとか。心の不調と過失が運悪く重なるということなのだと思いますが、確かにあり得ることだと思います。人生に絶対はないのだから、今は大丈夫と思っている受診していない人たちも十分気を付けなければならないなと思いました。

カウンセリング経験がなかったので、読んでいてとても勉強になりました。

今は元気!という人でもお時間があるときに一度読んでおくと、ちょっとした心の不調にもすぐに気づけて対処できるのではないかと思います。

(ただ、現在メンタル不調…という方は読むと滅入ってしまうかも。それには十分お気をつけください)

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